コロナ禍に似ている?

今回は、「人は動けるのに地域の土台が削られる危機」

最近の世界情勢を見ていると、私はどうしてもコロナ禍のときの空気を思い出します。

戦争によって原材料が入りにくくなる。物流が乱れる。工場が止まる。物が作れない。その結果、物価が上がる。

この流れは、あの頃に似ています。しかし、今回はコロナ禍とまったく同じではありません。

あのときは、人の移動そのものが止まりました。
街から人が減り、経済活動そのものが大きく制限されました。

一方で今は、人は動いている。
街にも人がいる。
店も開いている。
イベントもある。

一見すると、社会は普通に回っているように見えます。

けれど、その裏側では、
「人は動けるのに、物が作れない」
「需要はあるのに、供給が苦しい」 という、別の種類の危機が進んでいます。

だから私は、今の状況はコロナ禍に似ている。けれど、もっと見えにくく、もっと長引きやすい危機だと感じています。

今回の問題は、不景気というより「供給不安」です

今の問題を単なる不景気として見ると、本質を見誤ります。

人の流れはある。
消費がゼロになったわけでもない。
地域経済も、表面上は動いている。

しかし現場では、

材料が高い
燃料が高い
輸送費が高い
納期が読めない
それでも価格転嫁が十分にできない

という問題が、じわじわ広がっています。

つまり今起きているのは、
「需要がない危機」ではなく、「供給が不安定で、コストが上がり、利益が削られる危機」です。

売上があっても利益が残らない。
仕事があっても思うように作れない。
注文があっても、原料やエネルギーの問題で回らない。

これは、中小企業にとって非常に厳しい局面です。

豊橋・東三河は、この影響を受けやすい地域です

この問題は、遠い国の話ではありません。
むしろ、ものづくり、物流、農業が地域経済を支えている豊橋・東三河こそ、影響を受けやすいと私は考えています。

地域産業は、原材料、燃料、物流、水、電力といった基盤が安定してこそ成り立ちます。

ところが今は、世界情勢の不安、資源高、物流不安に加え、東三河では水の問題まで重なっている。
つまり今の豊橋は、単なる物価高に向き合っているのではありません。
地域の生産力そのものが試されているのです。

今必要なのは、大きく3つです

私は、政治的に整理すると、今必要なのは大きく3つだと考えています。

「家計防衛」
「中小企業の利益防衛」
「水とエネルギーの安定確保」

この3つを一体で考えなければ、地域は守れない。

1.家計防衛

物価高は、すべてが同時に来るわけではありません。
最初に家計を直撃しやすいのは、ガソリン、ガス、電気といったエネルギー価格です。

戦争(特に中東)や国際情勢の悪化は、まず燃料価格を押し上げます。
すると、車での移動、通勤、配送、家庭の光熱費にすぐ影響が出ます。

そして、その後に時間差で効いてくるのが、食料品や日用品の値上がりです。
輸送費、包装資材、電気代、原材料費などの上昇が、少し遅れて店頭価格に反映されるからです。

つまり今回の物価高は、
最初にエネルギーが家計を圧迫し、その後に食品や日用品が追いかけてくる。
そういう形で市民生活に広がる可能性があります。

だからこそ必要なのは、家計の固定費をどう軽くするかです。

私は、コロナ禍のときから、市民に平等に支援が届く政策の重要性を感じてきました。
そういう意味で、今回豊橋市が打ち出した水道基本料金の6か月免除は、中東の争いがここまで深刻化する前に予算化されたものであっても、物価高騰対策として有効だと感じています。豊橋市はこの施策を、国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用し、個人にも事業者にも行うとしています。

水道料金の免除は、所得制限や複雑な申請に左右されにくく、市民にも、店にも、事業者にも、広く平等に届きやすい支援です。
派手さはなくても、こうした政策こそ、暮らしを守る現実的な対策だと思います。

2.中小企業の利益防衛

今、中小企業は売上よりも、利益が削られています。

材料費が上がる。
燃料費が上がる。
物流費が上がる。
人件費も上がる。
それでも、すべてを価格に転嫁できるわけではない。

この状態が続けば、地域経済を支える中小企業がもたなくなります。

売上があることと、会社が健全であることは同じではありません。
利益が残らなければ、設備投資もできない。
賃上げもできない。
雇用も守れない。
そして最後は、地域の活力そのものが弱っていきます。

だから今、行政が本気で取り組むべきは、
資金繰り支援
価格転嫁の後押し
固定費負担の軽減

地域で踏ん張る中小企業の利益を守ること。
それが、地域の雇用を守ることにつながります。

3.水とエネルギーの安定確保

そして、今の豊橋・東三河で極めて重要なのが、
水とエネルギーの安定確保です。

ただ、ここは本音を言えば、市だけでどうにかできる領域ではありません。

エネルギーは、燃料調達、電力制度、広域インフラなど、どうしても国の役割が大きい。
水も、豊川用水のような広域水系や渇水対応は、県との連携なしには成り立ちません。

だからこそ、国はエネルギー安定化に責任を持つべきです。
県は広域的な水資源の調整と産業防衛に責任を持つべきです。

そして市がやるべきなのは、
その影響から市民生活と地域経済を守ることです。

つまり、
国・県が「大きな土台」を守る。
市が「暮らしと現場」を守る。
この役割分担が今まで以上に必要です。

私は、今の課題を単なる物価高対策ではなく、
地域の生産力を守る経済安全保障として取り組むべきだと思っています。

今回は、コロナ禍よりも“見えにくい危機”

コロナ禍のときは、誰の目にも異常事態でした。
街から人が消え、社会が止まり、危機がはっきり見えました。

しかし今回は違います。

人は動いている。
店も開いている。
イベントもある。
表面上は、普通に社会が回っているように見える。

だからこそ厄介です。

静かに、しかし確実に、家計が削られ、中小企業の利益が削られ、地域の生産基盤が削られる。

私は、ここに強い危機感を持っています。

今、政治がやるべきこと

今、政治に求められているのは、地域の土台を守ることです。

暮らしを守る。
地域企業を守る。
水とエネルギーを守る。

そのためには、国に求めること、県に求めること、市が責任を持ってやること、これを分けて、現実的に前へ進める必要があります。

いま必要なのは、

「家計防衛」
「中小企業の利益防衛」
「水とエネルギーの安定確保」

この3本柱です。

この3本柱で見ると、今の問題は単なる物価高対策ではありません。
地域の生産力を守る経済安全保障の課題です。

人が動いているから大丈夫。
景気が完全に止まっていないから大丈夫。
そうした楽観は危険です。

今こそ、先をよみ、見えにくい危機を直視し、地域の土台を守る政治を進めていかなければならない。

私は、そう考えています。